各専修課程紹介
現代社会専修課程
Sociology and Field Studies
多様な「現代社会」に斬り込む広い知識と深い思考、そして実践。
多くの問題を抱えている、私たちが生きる現代社会 ── 。
政治や経済において世界の人々は互いの結びつきを強める一方で、地域ごとの文化や社会の多様性はなお存在し続けています。また、都市の消費文化の繁栄の一方で、貧困の悪化と格差の拡大、紛争、環境破壤など多くの問題が次々と生まれさまざまな情報が飛び交う中で、真実を見抜く力が求められています。
現代社会専修課程では、社会学とメディア論(社会コミュニケーション専攻)、および文化人類学と地理学(地理学文化人類学専攻)を学問的な柱に、社会の現状を的確に捉え、これからの私たちの社会を構想し創造する人間を育てます。
教育の特色とカリキュラム
複雑な現代社会を理解するためには、複数の学問分野の視点や成果を結集する必要があります。社会科学の幅広い分野をカバーする本専修課程では、現代社会のさまざまな現象を理解するための基本的な知識や視点、基礎概念を習得したうえで、専門科目の演習、講義によって各学問分野で蓄積されてきた様々な知見や諸理論を学び、演習ではコミュニケーション能力とプレゼンテーション能力を育てます。また本専修課程では特に、複雑で多面的な社会現象や地域の人々の社会活動の調査を企画・実施するための、種々の社会調査手法の修得を重視し、そのための実習・研究法の授業を提供しています。そして、これらの授業を通して身につけた知見と理論を踏まえ、必要に応じて自ら調査を行なって、卒業論文作成につなげます。こうした社会についての知識や社会調査のスキル、そしてコミュニケーション能力は、社会生活の中で生かされる基本的な技術であるとともに、キャリア形成の不可欠の基礎となるでしょう。
専攻紹介
知の消費者でなく生産者になろう
本専攻では、さまざまな側面を持つ現代の社会と、その社会を支える情報メディアの問題に取り組みます。グローバル化、情報化、少子高齢化など、私たちを取り巻く状況は大きく変化しつつあります。しかしこうした現状について、理念や印象だけに基づいて語る議論も少なくありません。印象論を避けて現代社会の実像を正しく捉えるためには、社会学をはじめとする社会科学の知識が不可欠です。
本専攻では社会学とメディア論を基礎に、多様な姿を見せる現代社会の動きと、それを支える複雑なコミュニケーションの様相を学び、社会やメディアを考察するための基礎的な知識と理論を身につけます。またあわせて、現実の社会現象を考察するために、データ収集を目的とした本格的な社会調査の方法と、そのデータを分析するための多様な手法を、講義や演習を通じて学んでいきます。
■ 2024年度に開講中の授業・演習ピックアップ
社会学特殊講義Ⅲ ◎ 佐藤雅浩 准教授
「見えない世界」を可視化するために、社会調査の理論と方法を学ぶ。
「社会調査」と聞いて、皆さんはどのようなものをイメージするでしょうか。世間によくある「アンケート」や「インタビュー」を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、それらは社会調査が用いる手段の一つにすぎません。社会調査は、まだ知られていない社会学的な事実を明らかにし、社会的な意味世界を探求すること、すなわち日常生活の中では気づきにくい「見えない世界」を可視化することを目指すものです。そしてその実施や得られたデータの解釈には、一定の専門的な知識が必要となります。この授業では、社会調査の意義や目的、そして適切な調査票の作成方法を学ぶと同時に、実際に行われた社会調査データを分析・考察するためのスキルや知識を身につけることを目指します。
その他の開講中の授業・演習ピックアップ
社会学入門
佐藤雅浩
社会学の考え方を概説し、主要な社会学者の理論や、現代社会に関する個別の社会学研究について解説します。
メディア論入門
大茂矢由佳
メディアが政治や社会にもたらす影響について、歴史上や現代の具体的事例に基づきながら理論的に考えます。
国際人口移動概論
大茂矢由佳
国境を越える人の移動について、国内外の現状や課題、国際レジーム、理論などを幅広く多角的に学びます。
社会学特殊講義Ⅵ
小杉亮子
日本の社会運動をテーマに、さまざまな実例から、運動が生まれる社会的要因や運動の役割について学びます。
世界のさまざまな人々の生活の動態を知る
本専攻では、同時代に生きる世界各地の人びとのさまざまな社会の動きを、地理学と文化人類学の知見や理論を基礎に、それぞれの自然環境や文化的背景を踏まえて把捉することを目指します。本専攻の教員はみな、日本国内や世界のさまざまな地域(東南アジア、ヨーロッパ、西アフリカ、南アメリカなど)を研究対象地(フィールド)として、宗教や経済の活動、政治システム、民族問題、さらには文化財活用、地域活性化といったテーマをめぐって、現地調査や社会的活動をおこなってきています。本専攻ではこうした経験に基づき具体的な事例を提供して、一緒に考えることを通して、日本や世界各地の人々の社会や文化に関する知識を活用して、生活を理解し地域社会に貢献する力を育てます。また、地域に生きる人々の生活や文化を的確に理解するために、さまざまなデータを収集し、分析・解釈をする方法を学びます。
■ 2024年度に開講中の授業・演習ピックアップ
地理学実習A・地理学実習B ◎ 市川康夫 准教授
地域生活の実態を把握するために、地図作成法やGISなど、幅広く地理学調査の基礎を身につける。
地理学実習は、地域調査に必要となる基礎的な技能と知識を、実際の作業と現場での体験を通して学習することを目的とし、地図の読図法やその理解から、パソコンを使用したイラストレーターやGIS(地理情報システム)を用いたデジタルマッピングまでを習得します。また、地理学に関わる統計の収集や統計情報の分析を通じ、学生が自ら地理情報を取得し、地理的な分布や立地の分析をすることができるようになることを目指しています。その上で、学外へと出て、埼玉県内の街の中や農村を歩いて土地利用調査のやり方や地域調査の方法、そしてアンケート調査や聞き取り調査の基礎を学び、実際のフィールド調査(野外調査)を体験することで、具体的なスキルを習得します。
その他の開講中の授業・演習ピックアップ
地理学入門
松宮邑子
人間活動と自然環境との結びつきや、社会・経済・空間の特性に目を向け、地理学的なものの見方を学びます。
地誌学
市川康夫
フランス都市・農村のモノグラフからマクロまでの多様な空間構成・展開を地誌的に思考する方法を学びます。
ヨーロッパ民族誌
三浦 敦
神話、親族、民衆キリスト教、移民、ヨーロッパ統合など、ヨーロッパ社会の文化的特徴を多面的に学びます。
ラテンアメリカ民族誌
井口欣也
ペルーの伝統的な信仰と現代の社会生活を中心に、今日のラテンアメリカの多様な文化と動態を学びます。
ヨーロッパ地誌
キーナー ヨハネス
オーストリアの首都ウィーンの歴史を遡りながら、ヨーロッパの都市の空間構想、文化、社会などについて学びます。
フィールドワーク論Ⅱ
三浦 敦
質的調査について、その考え方、調査計画の立て方、インタビュー技術などを、実際の調査を通じて学びます。
埼玉大学教養学部
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