各専修課程紹介

日本・アジア文化専修課程

Japanese and Asian Studies


日本と東アジア(中国、韓国)の文化を広い視野からとらえる。

古くから日本はアジア諸国、とりわけ中国と韓国から強い影響を受けつつ、独自の文化をはぐくんできました。同じく漢字を文字として使用し、儒教を精神文化の一背景とするこれら三国は、多様な文化が交錯する東アジア地域にあって、歴史的にたいへん密接なつながりを持っています。
 今や日本と中国・韓国は、それぞれの文化の独自性を尊重しながら相互理解を深め、アジアの一員として国際社会に貢献していかなければなりません。そのためには日本と東アジアの文化をトータルにとらえる広い視野が必要です。それを可能にするために生まれたのが日本・アジア文化専修課程です。

教育の特色とカリキュラム

日本を含む東アジア諸国の相互理解の未来を見すえながら、それぞれの国の言語・思想・文学・芸術などの文化のあり方や、各国間の文化交流の歴史について学びます。そして地域間の友好的な関係をはぐくむのに必要な思考力や発信力を身につけていきます。「日本」を一味違った視点から見つめなおすために、日本の伝統的な文化や芸能についての研究・教育に取り組む外国籍の教員を複数配置していることも本専修課程における教育の特徴です。
 概説、基礎演習、研究法といった授業科目で研究の基礎を学び、特殊講義、演習などで確かな専門性を身につけ、各自のテーマに基づいて、研究の成果を卒業論文に結実させることが可能です。また、教室での授業以外にも、学外の研究施設や劇場やミュージアムを訪れて、実際の資料や上演に触れたり、研究指導・ディスカッションの機会を設けたりと、さまざまな試みを行っています。

専攻紹介

当たり前のものと思われがちな「日本」とは何かを問い直す

 「日本」も「文化」も、決して自明のものではありません。現在の私たちが、ごく自然に「日本」的だと考える文化の多くは、東アジア諸国をはじめとする諸外国の文化に、もしくはそうした国民国家のフレームでは区切れない文化圏のネットワークの中に、その起源を持っています。また、一口に「文化」といっても、言語、思想、文学、芸術、風俗、宗教、社会的な規範など、さまざまな側面があります。
 本専攻においては、このように多様な「日本文化」を探求するために、「言語」「文学」「芸術」という三つの分野のそれぞれを学び、さらにこれらを一体的にとらえるための教育を行っています。さらに他の学問領域、特に同じ専修課程に属する東アジア文化専攻とは、問題意識やカリキュラムにおいて密接なかかわりを保っています。

■ 2023年度に開講中の授業・演習ピックアップ

日本語教育学演習Ⅰ~Ⅵ ◎ 劉 志偉 教授

日本語を教えるとはどういうことか。
 言葉で非母語話者をサポートしたいという意欲があれば、日本語を母語とするものならだれでも可能である。しかし、誰でも日本語を指導できるかというと、必ずしもそうではない。例えば、「高そう」「美味しそう」のように、様態のソウは、形容詞の最後にあるイを取り除いてソウを付け加えると教えるが、「かわいい」がそれに当てはまらない。「赤い」も「赤そう」と普段は使わない。もう一度を挙げる。「書く」「歩く」にテまたはタが後続する場合、語尾のクは一般的にはイ音便化が起こり、「書いた」「歩いた」となる。しかし、「行く」は「行った」のように促音便となる。このように、いわゆる例外を含む指導内容をどのタイミングでどのように導入するかについては意外に難しく、専門的な知識と能力が求められる。
 この授業では、教案作りの基本を勉強すると同時に、関連授業「日本語教授法ⅠⅡ」で学んだ知識を意識しながら学生が模擬授業の発表を行う。模擬授業の演習で培った経験を活かし、実際の日本語教育実習(海外または国内)を通じて、言葉そのものに関する知識・能力だけでなく、教室活動、教具や空間利用等日本語を指導するための知識・能力、さらには学習者の母語や文化をはじめとする教育背景をなすさまざまな事項についての知識・能力を高める。

その他の開講中の授業・演習ピックアップ

日本語学概説A

川野靖子

音声音韻、語彙、文法、文字表記などの観点から、日本語がどのような仕組みを持った言語なのかを学びます。

日本近現代文学特殊講義Ⅰ・Ⅱ

杉浦 晋

明治時代から昭和時代までの代表的な詩人達の作品を、発表された順に、講義と討議によって精読しています。

日本近世文学演習Ⅰ~Ⅵ

ビュールク トーヴェ

江戸時代の代表的な作品の元になっている古典作品を探しながら、その作風と意義について考察します。

日本文学概説A

舘野文昭

日本古典文学の主要なジャンルの特性について、具体的な作品を講読しながら考察してゆきます。

東アジアとの豊かな関係を作るために

 日本の隣国である中国と韓国 ── 過去においても私たちと最も盛んに交流してきた両国との関係は、これからも重要なものであり続けるでしょう。古代日本のグローバル化が両国とともに進められたように、これからのグローバル化においても、両国との関係は無視できないのです。これらの国の文化を学ぶことは、他者としての隣国と向き合い、これらの国の人々と協力・協働するための第一歩です。同時にその学びは、「自国」をより豊かに理解することにもつながります。
 そのためにまず、隣人たちの言語、文化、歴史、思想を知るところから始めます。中国や韓国の過去と現在を学びながら、東アジアと日本の未来を描いてみませんか。
 草の根からの相互理解を深めてゆくために、本専攻では、両国の言語、文化、歴史、思想をしっかりと学んでいきます。

■ 2023年度に開講中の授業・演習ピックアップ

中国古典研究法 ◎ 西山尚志 准教授

「事実」と「価値」の間で起きた日韓中の論争を学び、討論する。
 この授業では、近代東アジアの人文学において「事実」と「価値」がどのように衝突し、どのように展開していったのかという問題を学んでいます。明治以降、日韓中の三カ国では神話や古代史を用いたナショナリズムが形成されました。しかし同時に歴史の「事実」を追求しようとする近代的な科学精神も生まれます。「事実」と「価値」の間で、日韓中の様々な分野の人々が論争を巻き起こし、葛藤しました。この授業では、近代の日本・中国のアジア研究に関する論文や小説などを受講生が事前に読み、論争の展開を追いながら討論します。

その他の開講中の授業・演習ピックアップ

中国古典文化概説

牧 陽一

中国の古代から近代までの中国思想史を概説し、議論をします。

韓国文化研究法

柳川陽介

現代の韓国小説を手掛かりに、社会問題や歴史背景について考えます。

中国古典文化概説A

西山尚志

古代から近代までの中国思想(主に儒教)の歴史的展開を、中国の思想が日本にどのような影響を与えたのかという問題も念頭に置きながら学習します。

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