各専修課程紹介
グローバル・ガバナンス専修課程
Global Governance Studies
グローバル・ガバナンス ── 持続可能な世界に向けた21世紀のアプローチ。
「グローバル・ガバナンス」とは、国際機関、国家、地方自治体、企業、NGO、個人などさまざまな主体間の協力によって、紛争、開発、環境、人権、国際テロ、感染症などの地球社会が直面する共通の諸問題を解決し、地球社会の維持存続を図ってゆく、地球規模での統治・管理・運営のプロセスを指します。
従来の国際問題は基本的に主権国家を単位とする政府どうしの関係の中で処理されてきました。しかし、現代世界の諸問題は、もはや伝統的な国家間関係には還元できない広がりと複雑さを持つようになっています。
そこでグローバルな視点から世界全体のガバナンスを構想し、行動することが重要になっているのです。こうした複雑な世界を読み解く方法と知識を、社会科学の学問的基盤に立って身につけ、国内外を問わず社会のさまざまなレベルでグローバル・ガバナンスに貢献できるようになること ── これがグローバル・ガバナンス専修課程の教育理念です。
教育の特色とカリキュラム
グローバル社会で活躍する際に不可欠な3つの力 ── 論理的思考能力、ユニバーサルに通用する体系的知識、コミュニケーション手段としての英語力 ── を身につけられるようなカリキュラムを提供しています。具体的には、社会科学的アプローチからグローバルな課題を考察する授業、世界標準を満たす教科書や教材の使用、英語文献の使用や英語で教授される授業により、3つの力を強化します。
専攻は2つに分かれていますが、両者は密接な連携関係にあり、教育プログラムも一体化しています。まずは、入門科目を通して、グローバル・ガバナンスに関する基礎知識の土台を作ります。その上で、より専門的な講義(概論や特論)や演習を通して、体系的な知識を主体的に獲得、探求し、さらに実習・研究法の授業を通して、それらの知識を各自の関心テーマに応用する力を養います。こうして培われた能力により、自らの問題意識に基づく学術的な卒業論文を完成させることになります。
専攻紹介
アナーキーなグローバル社会における秩序を考える
「国内」社会における安全の保障は基本的に政府が担っています。しかし相互に独立した主権国家から構成される国際社会には、各国の上位に君臨し全世界の安全を保障してくれるような世界政府は存在していません。このアナーキー(無政府)の中に如何に秩序を作るのか。それを研究するのが国際関係論の中心課題です。
21世紀の現代では、国家による防衛政策や国家間の同盟に加え、国際機関や国際法の発展、経済のグローバル化の進展、NGOのようなグローバル市民社会による活動など、世界に平和と安全をもたらす条件や方法は複雑化しています。本専攻では、これらの条件や方法を多様な観点から理解するために、国際政治学、国際政治経済学、国際法学という複数の学問分野からの教育・研究を行っています。複雑な世界のガバナンス構造を学際的に俯瞰し、分析する能力を獲得するのが本専攻のねらいです。
■ 2024年度に開講中の授業・演習ピックアップ
国際政治経済学概論 ◎ 冨田晃正 准教授
日常生活にも影響を及ぼす国際政治経済システム、新興国台頭でグローバル社会はどう変わるか。
国際政治経済学とは何? 勉強すると何が分かるの? といった問いに答えることで、国際政治経済学の基本を考察します。講義の前半では、現在の国際政治経済システムが、我々の日常生活にどのような影響を与えているかを理解した上で、国際政治経済システムの特徴に関して概観します。ここでは日本に始まり、アメリカ、欧州の先進国、そして中国に代表されるBRICsと呼ばれる新興国が抱える問題と可能性に関して、国際政治経済学の視点を持ち込むことで考えていきます。後半は、米国の覇権国としての地位は低下するのか否か? 中国は米国に代わる覇権国として台頭するのか否か? 米国が主導してきた「市場」をベースとした国際政治経済秩序が、中国の台頭により変化するのか否か? といった問いを考えることで、国際政治経済秩序の変容について考察します。

その他の開講中の授業・演習ピックアップ
政策決定論
冨田晃正
日本やアメリカといった先進民主主義国を中心に、「どのような条件下で政策変更は生じるのか?」、「誰が政治決定に影響を持っているのか?」といった問いに、制度や利益集団、そして世論といった要因に注目することで、理論的にアプローチします。
グローバル・ガバナンス論
草野大希
世界政府を持たない国際社会で、国や人々がどのように協力し、地球規模の問題を解決しているのか考察します。
国際政治学演習
草野大希
国際政治学の主要理論を、欧米の大学で定評のある洋書の教科書の精読、発表、討論を通して学んでゆきます。
国際政治経済学演習
冨田晃正
この演習では、国際政治経済学の理論を学んだ上で、それを実際にどのように論文の執筆へと発展させていくのかを学んでいきます。
政策志向と学際性から貧困問題にアプローチする
国際開発学とは、途上国の経済・社会・政治等の問題がなぜ形成され、どのように対処すべきなのかを学ぶ総合的な学問分野です。開発途上国の貧困・開発問題という具体的問題の「解決」には、どうしたらよいのかという「政策指向」を強く持ち、幅広い学問分野からアプローチする「学際性」が必要になります。
国際開発論専攻では、主に経済学や社会学、政治学といったディシプリンに基づいた教育・研究をしています。日々の教室での学びに加えて、アジア、アフリカ、中東などの開発途上国現場でのインターンシップや現地調査といった活動から学ぶことも推奨しています。経済成長、貿易問題、貧困削減、市民社会、環境問題、ジェンダー、ガバナンス、民主化、援助といった分野・イシューについて、社会科学的分析をする能力の構築が本専攻のねらいです。
■ 2024年度に開講中の授業・演習ピックアップ
国際協力論演習 ◎ 東 智美 准教授
ローカルな視点からグローバルな開発問題の本質を理解する。
国際協力論演習では、「開発」の現場に生きる人びとはどのように暮らし、開発事業によってどのような影響を受けているのか、国レベルやグローバルな国際協力や開発援助を取り巻く政策や構造にはどのような課題があるのかを、学生主体で学んでいきます。2025年度の演習では、前半は国際協力の課題を分析するための理論的な枠組みを理解するため、課題文献の講読とそれを受けた学生同士のディスカッションを行います。後半は、隔年で開講される夏期集中講義「国際開発フィールドワークⅡ」と連動し、文献講読や現地の専門家によるオンライン講義などを通じて、フィールドワークの対象地域の人びとの暮らしや開発課題についての知識を得た上で、グループごとにテーマを決め、リサーチ・クエスチョンや仮説を立て、フィールドワークの準備を行います。社会調査の理論を学んだ上で、自ら調査計画を立て、現地で想定外の現実に直面して新たな知見を得る、というプロセスを通じて、国際協力や社会開発についての研究手法を修得し、開発問題を多角的に捉える思考力を身につけることができるでしょう。

その他の開講中の授業・演習ピックアップ
国際開発政策論
近藤久洋
開発・援助政策を分野別に理解するため、講義・ディスカッション・ディベートを通じてよりアクティブに学びます。
比較政治学
近藤久洋
世界の政治経済の多様性やメカニズムを分析できるようになるため、比較政治学の方法をグループワークを通じて学んでゆきます。
Development Economics
サムレト ソワンルン
経済学の観点から発展途上国が直面している貧困や教育などの開発上の諸問題を分析し、解決策を考察します。
Finance and Monetary Economics in Developing Countries
サムレト ソワンルン
貨幣経済学の理論に基づき発展途上国における金融制度や金融部門の諸問題を探究し、解決策を考察します。
社会開発の分析手法
東 智美
社会科学の理論形成における事例研究や社会調査のあり方を理解した上で、文献の読み解き方、研究の組み立て方を実践的に学びます。

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